「猿人」はいなかった:みなホモ・サピエンスだった
1) 断片的な化石の上に築かれた、形による分類
歯や頭骨のかけらから名づけられた種
人類学者たちは何十種類もの古代人類の化石を見つけ、その形をもとに別々の種名をつけてきました。ホモ・ハビリスは、チンパンジーより少し大きい約600ccの脳と、精巧な石器の使用を根拠に分類されました。ホモ・エレクトスは、脳が800〜1100ccに大きくなり、完全に直立歩行したことから別の種とされました。ホモ・ハイデルベルゲンシスは大陸ごとのばらつきが大きすぎて、一部の人類学者から「ごみ箱分類群」とあだ名されるほど、分類が不安定です。ネアンデルタール人は、厚い頭骨、大きな眉の隆起、私たちより大きな1200〜1900ccの脳から、別の種とされました。インドネシアのフローレス島で見つかったホモ・フロレシエンシスは、身長わずか1.06m、脳は380ccしかないのに、道具と火を使った形跡があります。2013〜2014年に南アフリカで見つかったホモ・ナレディは、脳が560ccしかなく、ネアンデルタール人とほぼ同じ時代に、まったく違う姿の人間が生きていたことを示唆しています。学者たちがこれらを種に分ける基準にしたのは、主に脳の大きさ、頭骨の形、歯の構造、骨盤や手足の比率の違いでした。でもこの方法には、深刻な疑問があります。
まず、これらの化石はとても完全とは言えません。古代人類化石のデータベースを分析したある研究では、個体の80%が骨一本か歯一本しか知られておらず、ばらばらの歯が全標本の約56%を占めていました。つまり、教科書で見る「種の復元図」の多くは、歯一本や頭骨のかけら数個から作られ、残りは推論と想像で埋められているのです。最初にホモ・ハビリスに分類された化石は、主に頭骨と歯でした。のちに腕や脚や足の骨が見つかり、体の大きさを推定できるようになると、この種はとても背が低く、腕が長く脚が短かったことがわかりました。最初の分類は歯と頭骨だけで行われていたのです。ホモ・ハビリスがそもそもヒト属に入るのかどうかさえ、いまだに合意がなく、化石の一部またはすべてをアウストラロピテクスに分類し直すべきだと主張する科学者もいます。私たちが「別の種」と呼んでいるものの多くは、数本の歯と骨のかけらから作られた構築物です。私たちは完全な個体を比べているのではありません。かけらを比べているのです。
2) 交雑と、一つの生物学的な種類だった証拠
ネアンデルタール人とデニソワ人の遺伝子、「ゴーストDNA」、単一種説
交雑を見てください。現代人のゲノムには、実際にネアンデルタール人のDNA(ユーラシアの人々で約1〜4%)とデニソワ人のDNA(オセアニアの人々で最大約6%)が含まれています。もし生物学的にまったく別の種だったなら、生殖能力のある子孫は生まれなかったはずです。こうした遺伝子が無事に受け継がれたという事実そのものが、彼らがみな一つの遺伝的システムの一部だったことを強く示しています。「ゴーストDNA」も同じ方向を指しています。西アフリカの人々のゲノムで見つかった正体不明の「幽霊」の遺伝子断片は、化石ではまだ特定されていない古代人類の集団とも、遺伝子の交換が続いていたことを示しています。化石がないから名前がなく、名前がないから「別の種」に分類されたこともない。それなのに、その遺伝子は私たちの中に生きているのです。
熱帯の化石の限界もはっきりしています。高温多湿の熱帯の環境では、DNAはすぐに分解されます。その結果、DNAの証拠は、ネアンデルタール人やデニソワ人のような寒冷地の化石に偏ります。遺伝的に比較できない化石の形の違いを、別の種の証拠として扱うのは、方法として弱いのです。「交雑しなかった別の種」と判断されている集団は、単にDNAが残らず、確かめられなかっただけの集団なのかもしれません。
3) ホルモン、寿命、孤立が骨格を作り変える
先端巨大症のような特徴と近親交配:集団全体を変える仕組み
現代医学は、成長ホルモンが長いあいだ過剰に出ると、成長板が閉じた大人でも骨格が変わり続けることを知っています。先端巨大症では、額と眉の隆起が突き出し続け、下あごが前に伸び、頭骨全体が厚くなります。これはまさに、私たちがホモ・エレクトスやネアンデルタール人の特徴として分類している点です。どこの学校にも、今でもこういう人が何人かいるのではないでしょうか。もし初期の人間が何百年も生きたなら、その骨は、ホルモン環境に応じて何百年もかけてゆっくり形を変えたでしょう。突き出た額、大きくなった眉の隆起、長いあご、厚い頭骨が何百年も積み重なれば、現代人の目には、まったく別の種に見えたかもしれません。そこに栄養不足が加われば、特定の特徴は集団の中ですぐに固定されます。ホモ・フロレシエンシスの極端な小ささが、孤立した環境での限られた食料と近親交配で説明されるように、ほかの古代人類の形の違いも、同じ原理で理解できるのです。
近親交配による奇形も、もっともな仕組みです。近親交配が何世代もくり返されると、劣性遺伝子が対になって現れる確率は急上昇します。その結果は、単なる遺伝病にとどまりません。頭骨の早期癒合、眼窩の変形、大きすぎたり小さすぎたりするあご、極端な手足の比率といった、骨格全体の異常な形が、集団全体の標準になりうるのです。一個体の奇形ではなく、集団全体がその特徴を共有するようになるのです。聖書は、洪水のあと、人類がごく少ない人数から再び広がったと記しています。そうしたボトルネックを経た小さな集団が、地理的に孤立したまま何世代も近親婚を続けたなら、その骨格はほかの集団とは目に見えて違ってきたでしょう。その違いが積み重なって固定されたあとに化石として見つかれば、現代の人類学者には、まったく別の種に見えても不思議ではありません。つまり、新しい種が現れたのではありません。同じ人類が、孤立の中で極端に変化したのです。